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効果的な節税対策

役員社宅の賃貸料相当額、正しく計算できていますか?

こんにちは。吉村税理士事務所スタッフです。

広島市内で法人を経営されているオーナー経営者の方から、次のようなご相談をよくいただきます。

「役員社宅が節税になると聞いたが、賃貸料相当額をいくらにすればいいのかわからない
「顧問税理士に任せているが、本当に正しい金額で計算されているか確認したい
「税務調査で指摘されないか不安で、踏み切れていない」

役員社宅制度は、適切に設計・運用すれば法人・役員の双方にとって合法的な節税効果が高い制度です。一方、「賃貸料相当額」の計算を誤ると、差額の全額が役員給与として課税されるリスクを負います

本記事では、制度の仕組みから賃貸料相当額の法定計算式、広島市内の実例を使ったシミュレーション、そして税務調査で実際に指摘されやすいNG事例まで、実務に直結する形で解説します。


役員社宅が節税になる仕組み

役員報酬(現金・課税対象)の一部を、社宅という現物給付(適切に設計すれば非課税)に置き換えることで節税効果が生まれます。

会社が直接賃貸借契約を結び家賃を支払う一方、役員は法定計算式で算出した「賃貸料相当額」(一般的なRC造マンションなら家賃の10〜20%程度)を会社に支払うだけで居住できます。役員報酬の額面を下げることで所得税・住民税・社会保険料の負担が同時に軽減され、会社が負担する家賃差額分は法人の損金(経費)に算入できます。


制度を適法に導入するための3つの前提条件

制度を適法に導入し、税務調査で指摘を受けないためには、以下の形式を確実に整える必要があります

①物件の契約は必ず会社名義で:役員個人名義の契約に対して会社が家賃を補助した場合、名目を問わず「住宅手当」として役員の給与所得に全額算入されます(所得税法第36条)。社宅としての非課税扱いは認められません。

②役員社宅規程を整備する:対象役員の範囲・物件基準・賃貸料相当額の計算方法・徴収方法を明記した規程が必要です。規程なしで特定役員にのみ適用している場合、税務調査で「恣意的な利益供与」と判断されるリスクがあります。

③賃貸料相当額を正しく計算し、毎月確実に徴収する: ここが本日の本題です。次章で詳述します。


【実務直結】賃貸料相当額の正しい計算方法

税務上、役員が会社から社宅の提供を受けた際、無税(非課税)とするために最低限支払わなければならない「正しい家賃」のことを「賃貸料相当額」といいます(所得税法第36条、所得税基本通達36-40)。

もし、役員から徴収している負担金がこの「賃貸料相当額」に満たない場合、実務上は以下のような厳しいペナルティが発生します。

⚠️給与課税される具体的基準(所得税基本通達36-45): 役員から実際に徴収している負担金が、「賃貸料相当額」の50%未満である場合、その「賃貸料相当額」と「実際に徴収している金額」との差額の全額が役員給与(経済的利益)とみなされ、源泉所得税の課税対象となります。定期同額給与のルールにも抵触するため、会社側でも損金不算入となるダブルの税務リスクを負うことになります。

賃貸料相当額の計算方法は、物件の規模(床面積)によって変わります。

小規模住宅(RC造99㎡以下・木造132㎡以下)

広島市内の一般的な賃貸マンションはほぼこの区分に該当します。計算式は以下の通りです(所得税基本通達36-40)。

小規模住宅の計算式

賃貸料相当額 = (1) + (2) + (3)

(1) 建物の固定資産税課税標準額 × 0.2%
(2) 12円 × 床面積(㎡) ÷ 3.3
(3) 敷地の固定資産税課税標準額 × 0.22%

計算に必要な「固定資産税課税標準額」は、物件オーナー(大家・管理会社)から提供してもらう必要があります。「社宅契約のため課税標準額を教えてほしい」と依頼するのが一般的です。広島市内の場合、各区役所でも固定資産評価証明書を取得できます(原則、所有者または委任状が必要)。

非小規模住宅(上記面積を超える物件)

借り上げ社宅の場合、原則として「会社が支払う家賃の50%」が賃貸料相当額となります。節税効果が小規模住宅と比べて大幅に下がるため、導入前にシミュレーションが必須です。


広島市内の物件で試算する【シミュレーション】

※課税標準額は参考値です。実際の数値は物件により異なります。

ケース①:安佐南区エリア|RC造72㎡・家賃12万円

| 項目 | 金額 |
|——|——|
| 建物課税標準額(参考) | 500万円 |
| 敷地課税標準額(参考) | 300万円 |
| 賃貸料相当額(月額) | 約1.7万円 |
| 会社の月額損金 | 約10.3万円 |
| 役員負担率 | 約14% |

ケース②:中区・南区エリア|RC造90㎡・家賃20万円

| 項目 | 金額 |
|——|——|
| 建物課税標準額(参考) | 900万円 |
| 敷地課税標準額(参考) | 600万円 |
| 賃貸料相当額(月額) | 約3.2万円 |
| 会社の月額損金 | 約16.8万円 |
| 役員負担率 | 約16% |

いずれも小規模住宅の範囲内であれば、家賃が高いほど法人の損金算入額も大きくなります。


 税務調査で指摘されやすいNG事例3選

NG①:個人名義契約のまま会社が家賃を「補助」している
会社が経費精算で家賃を支払っているケースも同様に全額給与課税となります。さらに定期同額給与の届出がなければ法人側でも損金不算入となり、二重の税務リスクを負います

NG②:賃貸料相当額の50%未満しか徴収していない
所得税基本通達36-45は、徴収額が賃貸料相当額の50%未満の場合、差額全額を役員給与として課税すると明定しています。「多少低くても大丈夫」という認識は通用しません。

NG③:規程なしで特定役員にのみ適用している
明確な規程がなければ、代表取締役個人への恣意的な利益供与とみなされるリスクがあります。適用前に必ず規程を整備してください。


まとめ

役員社宅制度を正しく機能させるための3点を押さえてください。

1. 契約は法人名義で(個人名義+会社補助は住宅手当扱い)
2. 役員社宅規程を整備してから適用する
3. 賃貸料相当額を法定計算式で算出し、50%以上を毎月確実に徴収する

固定資産税課税標準額の取得方法や、実際の節税シミュレーションについては、物件情報をもとに個別に計算するのが確実です!

本日も最後まで読んでいただきありがとうございます!

【執筆者】

この記事を書いた人 執筆者:宍戸 幸輔

 吉村税理士事務所のスタッフ。お客様に役立つ税金の知識を分かりやすくお伝えします。

この記事を監修した人 監修者:吉村 匡史(代表税理士)

 広島の吉村税理士事務所・代表税理士。特に広島での会社設立・創業支援に力を入れており、地域の起業家を全力でサポートしています。>>代表プロフィールはこちら

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